7つのステップーStep3理想的なシステムの明確化

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Step 3  理想的なシステムの明確化

ここまで進んできたら、現行の事業/業務/作業の内容、問題・課題と対策、システム化の方向性、システム化範囲などが明確になっていることでしょう。

今まで取り纏めてきた資料類を元に、理想的なシステムを明確にしていきましょう。

Step3-1 理想的な業務のあり方を明確に

Step 3-1 理想的な業務のあり方を明確に

既に出来上がっている『業務一覧』『業務構成』『業務フロー』を転用し、理想的な業務のあり方を明確にしましょう。

留意していただきたいのは、あくまでも、『業務的な視点で業務要件を明確にする』ということと、『システム化の範囲で明確化した内容を加味する』ことです。

何も変わらない業務については、現状をそのまま転用しても構いませんので、全社的な視点で業務に抜けがないようにしましょう。

そうしなければ、前段階で行ってきたことが全く無駄な努力となってしまいます。

取り纏めの手順は、現行業務について明確化した時と一緒です。

同じ手順により、同じ様式を使用することで、現実業務と理想業務の差分が明確になり、自ずとその差分が対策となっているはずです。

ポイント
  • 業務的な視点で、業務要件を取り纏めましょう。
  • 現状分析で行った手順、様式を使いましょう。
    現状と理想を対比し、対策が正しいか検証しやすくなります。
Step3-2 理想的な全体システム構成を作成

Step 3-2 理想的な全体システム構成を作成

現行のシステム構成を作成する際にも触れましたが、システム構成をハッキリとさせておかなければ、出来上がったシステムを増強したり改善したりする時に、コンピュータの中がどの様なシステムになっているか分からない『手を付けられないブラックボックス』と化してしまう恐れがあるのです。

現行のシステム構成図を作成した要領で、理想的な業務のあり方を実現すべく、全体的な視点から『理想的なシステム構成図』を作成し、イメージ化を図りましょう。

とかく陥りがちなのが、今必要な範囲でシステムを考えてしまうことです。

全体を見据えて上でシステム化を考えていかないと、パッチワーク的なシステム郡が増えるだけで、全体としての効率化の足枷となってしまうばかりでなく、無駄な投資をしてしまう可能性があるからです。

ポイント
  • システム構成図を作るときは、全体の業務の関連をイメージするようにしましょう。
    全体をイメージするからこそ、全体の効率化をめざせる様になります。
  • 全体を見据えるからこそ、どこから手を付けるのが効率的なのかが見えてきます。
Step3-3 提案依頼書(RFP)を作成

Step 3-3 提案依頼書(RFP)を作成

提案依頼書の記載内容については、人それぞれの考え方があります。

私の勧める提案依頼書の記載内容は、

◇業務的な視点で『何をやりたいのか』を明確にベンダーに伝えること

に重点を置いています。

その為に、現状分析から始まって、理想的な全体システム構成までをステップを追って整理してきた訳です。

それでは、今まで整理してきた各資料を元に、ベンダー向けに提示する

『提案依頼書(RFP)』を作成してみましょう。

提案依頼書の書き方についての詳細を記述すると、それだけで1冊の本が出来上ってしまいますので、ここでは記載事項の一覧を記載いたしますので、参考にしてください。

『提案依頼書記載事項(例)』

1 システム概要

1.1 システム化の背景、目的、方針

1.2 解決したい課題、狙いとする効果

1.3 現行システムの概要

1.4 組織概要

1.5 業務内容と業務フロー

2 提案依頼事項

2.1 提案の範囲、要件内容・業務の詳細

2.2 新システム構成、品質・性能条件

2.3 運用条件

2.4 納期およびスケジュール、納品条件

2.5 定例報告および共同レビュー、体制

2.6 開発管理・開発手法・開発言語

2.7 移行方法、教育訓練、保守条件

2.8 費用見積(可能な限り詳細に)

3 提案手続きについて

3.1 提案手続き・スケジュール、対応窓口

3.2 参加資格条件、選定方法について

4 開発に関する条件

4.1 開発期間、作業場所

4.2 開発用コンピュータ機器・使用材料の負担、貸与物件・資料

5 保証要件

5.1 システム品質保証基準

5.2 セキュリティ

6 契約事項

6.1 発注形態

6.2 検収、保証年数(瑕疵担保責任期間)

6.3 機密事項、著作権等

ポイント
  • この前段階で検討・作成した各資料を元に、提案依頼書(RFP)を作成してみましょう
  • 業務の視点で、どの様な道具が欲しいかに留意して。
Step3-4 システム化概算予算の立案

Step 3-4 システム化概算予算の立案

貴方の会社では、システム化の予算をどの様に決めていますか。

  • システム化はいくら掛かるのか全く分からないので、ベンダーから提示された見積りを信じ、言われたままに予算取りをする。
  • 提示された見積りを見て、高いからまけろと価格に対する根拠のない交渉を行い値切り倒す。

そんな経験はありませんか?

貴方は何かを購入するとき、どの様な購買行動をとりますか。

衝動買いということもあるでしょうが、ここではそれは除外。それと、金に糸目はつけず青天井で何でも買ってしまうのも除外。

  1. システムは高額なもの。商品を購入するときははまず性能・機能をみますね(シーズ。どういう価値を提供してくれるのか)。
  2. その性能・機能が自分の要求(ニーズ)に会っているかを照らし合わせ、必要なものかを判断する。
  3. その価格と自分の懐具合をみて、最終的な購買に対する意思決定をする。

でも、目に見える出来上った商品だからこそスムーズに意思決定できるのではないでしょうか。

出来合いのパッケージソフトであれば、他の商品と同じ購買行動をとる事ができるでしょうが、自社専用のシステムを構築する場合は、そうはいきません。

かといって、ベンダーに言われたままにコストを掛けるというのは納得いきませんね。

それではどうしたら良いのか。

答えは簡単。ベンダーの見積り積算方法を知り、同様の方法で概算を積算してみるのです。

とは言っても、その方法を知らなければ当然無理なこと。

また、積算方法に決りはなく、ベンダー各社は独自の方法にて執り行っているのが現状です。

そもそも、システム費用は分かりづらいものです。

ベンダーも正確に費用を試算することに四苦八苦するぐらいですから、ましてや試算する知識を持たないユーザ企業が正確に把握することなどほぼ不可能に近いはずです。

しかし、折角ここまでの段階で何をしたいのかを纏めたわけですから、それを根拠に概算予算を算出し、その概算予算の範囲で調達してみては如何でしょうか。

よく、『このシステムは何人月』という表現をします。

設計工程で何人月、開発工程で何人月、テスト工程で何人月。・・・・

そこに人月単価を掛けて概算を算出します。

しかし、システム開発の経験がないと、人月を算出するのは不可能です。

ただ、どの様に工数を割り出すのかが問題であり、実は、ベンダーもこの工数見積りに四苦八苦しているのです。

数ある方法の中で最も簡単な見積り積算方法をご紹介します

数量 × 単価 = 費用

単純化すれば、上記の計算式です。

提案依頼書に記述されている内容を吟味し、

  • 入力画面/出力画面/検索画面など、画面数を想定。
  • 伝票/管理帳票など、帳票数を想定。
  • 日次処理/月次処理/年次処理など、目に見えない内部処理数を想定。

を数量として認識します。

やりたい事が明確になっていればこそ、精度の高い数値が出るはずです。

ここで算出された数量を工数の代わりに利用します。

次に、単価です。

(1) 画面系

人月単価を100万円(稼動24日)と仮定します。また、1画面作成するのに10日掛かると仮定します。すると、1画面あたり約40万円という単価が導き出せます。

(2) 帳票系

人月単価を100万円(稼動24日)と仮定します。また、1帳票作成するのに6日掛かると仮定します。すると、1画面あたり約25万円という単価が導き出せます。

(3)内部処理

人月単価を100万円(稼動24日)と仮定します。また、1内部処理を作成するのに6日掛かると仮定します。すると、1内部処理あたり約25万円という単価が導き出せます。

※ここでの単価は仮定であり、ベンダーにより異なります。

仮に、画面数が10、帳票数が10、内部処理が5と想定したとします。

(10×40万円 )+(10×25万円)+(5×25万円)= 7,750,000円

しかし、これで終わりではありません。

システムを開発するには、要件定義やシステム設計、テスト、データ移行という様々な工程があります。

これを算出するのも結構大変ですので、かなり大雑把ではありますが、算出した金額に1.5倍してこれらの費用を概算の中に組み込みます。

7,750,000円 × 1.5 = 8,137,500円

総額で約8,200,000円が概算として導かれます。

これはあくまでも一例ですが、貴社での『システム化予算基準』を策定してみましょう。

如何にその概算予算内に収めるかが、プロジェクト・マネージャの腕の見せ所です。

ポイント
  • システムはいくら掛かるか分からないと嘆くのではなく、いくら以内で調達しようと考え方を変えましょう。
  • システム費用の算出基準を確立しよう。システムの規模を見極められれば、自社で概算を試算できるようになります。

当社は、顧客の立場に立ち、IT化・システム化戦略の企画・立案および推進、課題解決をご支援させていただいておりますので、お悩み事やお困り事をお持ちのユーザ企業様、お気軽にご相談ください。