- システムの事は良く分からないので、ベンダーから提示された見積りを信じ、言われたままに予算取りをする。
- 提示された見積りを見て、高いからまけろと価格に対する根拠のない交渉を行い値切り倒す。
こんな経験はありませんか?
貴方は何かを購入するとき、どの様な購買行動をとりますか。
衝動買いということもあるでしょうが、ここではそれは除外。
それと、金に糸目をつけず青天井で何でも買ってしまうのも除外。
私は、商品を購入する時、まず性能・機能をみます。
次に、自分の要求に会っているか、また本当に必要なものかを判断します。
最後に、その価格と自分の懐具合をみて、最終的な購買に対する意思決定をします。
でも、出来上った商品だからこそスムーズに意思決定できるのです。
パッケージソフトであれば、他の商品と同じ購買行動をとる事ができるでしょうが、自社専用のシステムを構築する場合はそうはいきません。
かといって、ベンダーに言われたままにコストを掛けるというのは納得いきませんね。
それでは、どうしたら良いのか?
ベンダーの見積り積算方法を知り、概算を積算してみるのです。
とは言っても、その方法を知らなければ当然無理なこと。
また、積算方法に決りはなく、ベンダー各社は独自の方法にて執り行っているのが現状です。
そもそも、システム費用は分かりづらいものです。
ベンダーも正確に費用を試算することに四苦八苦するぐらいですから、ましてや試算する知識を持たないユーザ企業が正確に把握することなどほぼ不可能に近いはずです。
しかし、折角ここまでの段階で何をしたいのかを纏めたわけですから、それを根拠に概算予算を算出し、その概算予算の範囲で調達してみては如何でしょうか。
よく『このシステムは何人月』という表現をします。
設計工程で何人月、開発工程で何人月、テスト工程で何人月。・・・・
そこに人月単価を掛けて概算を算出します。
しかし、システム開発の経験がないと、人月を算出するのは不可能です。
ただ、どの様に工数を割り出すのかが問題であり、実は、ベンダーもこの工数見積りに四苦八苦しているのです。
そこで、数ある方法の中で最も簡単な見積り積算方法をご紹介します。
単純化すれば、上記の計算式です。
提案依頼書および要求定義を作成していることが前提ですが、
- 入力画面/出力画面/検索画面など、画面数
- 伝票/管理帳票など、帳票数
- 日次処理/月次処理/年次処理など、目に見えない内部処理数
やりたい事が明確になっていればこそ、精度の高い数値が出るはずです。
ここで算出された数量を工数の代わりに利用します。
- 画面系
人月単価を100万円(稼動24日)と仮定します。
また、1画面作成するのに10日掛かると仮定します。
すると、1画面あたり約40万円という単価が導き出せます。 - 帳票系
人月単価を100万円(稼動24日)と仮定します。
また、1帳票作成するのに6日掛かると仮定します。
すると、1帳票あたり約25万円という単価が導き出せます。 - 内部処理
人月単価を100万円(稼動24日)と仮定します。
また、1内部処理を作成するのに6日掛かると仮定します。
すると、1内部処理あたり約25万円という単価が導き出せます。注)ここでの単価は仮定であり、ベンダーにより異なります。
この数字を前提に、仮に画面数が10、帳票数が10、内部処理が5と想定したとします。
(10×40万円 )+(10×25万円)+(5×25万円)= 7,750,000円
しかし、これで終わりではありません。
システムを開発するには、要件定義やシステム設計、テスト、データ移行という工程があります。
これを算出するのも結構大変ですので、かなり大雑把ではありますが、算出した金額に1.5倍してこれらの費用を概算の中に組み込みます。
7,750,000円 × 1.5 = 8,137,500円
総額で約8,200,000円が概算として導かれます。
これはあくまでも一例ですが、貴社でのシステム化予算基準を策定してみては如何でしょうか?
如何にその概算予算内に収めるかが、プロジェクト・マネージャの腕の見せ所です。
システムはいくら掛かるか分からないと嘆くのではなく、いくら以内で調達しようと考え方を変えましょう。
システム費用の算出基準を確立してみてください。
システムの規模を見極められれば、自社で概算を試算できるようになります。