30数年システム開発プロジェクトに係わってきましたが、システム開発費用の算出って本当に難しいものです。
見積り/契約時点での開発費用、実際にプロジェクトが進む中で起きる費用の増額。
そして、その増額に関する発注側(ユーザ企業)と受注側(ベンダー)の交渉・・・
システム開発プロジェクトでは、当たり前のごとく繰り返されている光景です。
増額要求するベンダー側は、
要求範囲が追加になったから・・・
当初の見積りには含まれていなかったから・・・
想定していた以上に難しく、工数が膨れたから・・・
お客さんの要件確定が遅れて、その影響を取り戻すために増員したから・・・
などなど、実のところ、私もシステム開発会社にいた頃は、増額の要因があれば迷わず増額要求をしたものです。
なので、ベンダーの言い分は良く分かります。
増額要求を受けるユーザ側はどうでしょう。
当初要求した範囲外の事を追加するのであれば、納得できるでしょう。
しかし、当初の要求範囲であるにも係わらず、想定以上に難しい、そこまでは想定していなかった、というのは納得いきませんね。
あの見積りは一体何だったんだ?
他社と比べたら価格に魅力があったのに、結局は他社よりも高くなるじゃないか!
仕事を取るために安く見積りを出して、ユーザが引くに引けない状況になったら金額を吊り上げる気か!
などど思ってしまいますよね。
面白い事に、この光景はベンダー側の利益が損なわれる場面で出現します。
逆に、想定以上に易しかった、当初見積りの機能を削減する、などベンダーにとって得になる場面では出現しないのです。
敢えて 『減額します』 というベンダーはいないでしょうから、当たり前といえば当たり前です。
そんな事は百も承知なので、システム導入のコンサルをやらせていただく際、むやみにシステム開発費用を膨らませないための作戦を立てます。
本当は取越し苦労であって欲しいのですが、その作戦が見事にセーフガードとして威力を発揮した事例がいくつもあります。
聞いたら簡単。あ~、そんな事。当たり前じゃない。と思うでしょうね。
でも、当たり前のことを端折ってしまうから、問題が出るんですよね。
コンサル現場での戦いは続いてます。